消化器疾患

1.どのような病気ですか?

 代表的なIgG4関連消化器疾患として、自己免疫性膵炎とIgG4関連硬化性胆管炎があります。
 自己免疫性膵炎は、何らかの免疫異常により膵臓に炎症が起こり、膵臓が腫れる病気です。急性膵炎のような強い腹痛をきたす例は少なく、黄疸(皮膚の色が黄色くなること)をきっかけに診断される例が多いことが特徴です。健康診断や他疾患の検査を行った際に、偶発的に無症状で見つかる例もあります。症状や画像所見が似ている膵癌との鑑別が重要になります。自己免疫性膵炎は良性疾患であり、自然軽快することもあり、症状がない場合には無治療で経過観察することがあります。黄疸などの症状がある場合にはステロイド治療を行います。治療に対する反応は一般的に良好ですが、再燃率が高いことが知られています。
 IgG4関連硬化性胆管炎は、何らかの免疫異常により胆管に炎症が起こり、胆管の壁が厚くなる病気です。胆汁は肝臓から胆管を通り十二指腸に流れていきますが、壁が厚くなり胆管が狭くなることで、胆汁の流れが悪くなり、黄疸や肝機能異常が出現します。症状や画像所見が胆管癌に似ているため鑑別診断が重要になります。IgG4関連硬化性胆管炎と診断された場合には、黄疸に対しては必要により内視鏡を用いて胆管にステントを留置するなどしつつ、ステロイド治療を行います。IgG4関連硬化性胆管炎は良性疾患であり、5年生存率は95.3%、10年生存率は89.0%と報告されています。
 頻度は少ないですが、IgG4関連の肝病変や消化管病変も報告されています。

自己免疫性膵炎患者の造影CT画像。
びまん性にソーセージ様の腫大(矢頭)がみられる。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

 自己免疫性膵炎については、これまで4回の全国疫学調査が行われています。2002年、2007年、2011年、2016年の1年間の国内の患者数はそれぞれ、1,700人、2,790人、5,745人、13,436人と推計されており、増加傾向にあります。2016年調査によれば人口10万人あたりの患者数は10.1人であり、1年間で新しく罹患するのは人口10万人あたり3.1人と推計されています。男性例が多く(男女比2.94:1)、診断時の平均年齢は64.8歳でした。
 IgG4関連硬化性胆管炎については、2018年1年間の推計患者数は2,742人、人口10万人あたりの推計患者数は2.18人でした。IgG4関連硬化性胆管炎の79.5%が男性で、診断時の平均年齢は67.0歳でした。IgG4関連硬化性胆管炎患者の83.7%は自己免疫性膵炎も罹患していました。

3.診断・治療法にはどのようなものがあるのですか?

 自己免疫性膵炎とIgG4関連硬化性胆管炎の診断は、画像検査所見、血液検査所見、病理所見、他臓器病変の有無、ステロイド治療の効果などに基づいて行われます。膵癌や胆管癌との鑑別が重要です。

  • ●画像検査:腹部超音波検査、腹部CT、腹部MRI、超音波内視鏡、内視鏡的胆管膵管造影などが行われます。保険適応はありませんが、FDG-PETでしばしば炎症の部分に異常所見を認めます。

  • ●血液検査:血清γグログリン、IgG、IgG4の上昇や、自己抗体が高頻度に認められます。

  • ●病理検査:超音波内視鏡下の穿刺吸引法(EUS-FNA)による膵臓の生検や、内視鏡的胆管造影による胆管の生検が行われます。外科的に切除された膵臓や胆管の病理所見により診断されることもあります。

  • ●他臓器病変:自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎の他に、硬化性涙腺炎・唾液腺炎、後腹膜線維症、腎病変などがあります。

  • ●ステロイド治療の効果:専門施設においては、膵癌や胆管癌を除外した後で、ステロイドによる治療効果を診断に用いることがあります。

 自己免疫性膵炎とIgG4関連硬化性胆管炎にはステロイド治療が有効です。比較的高用量の経口ステロイド剤で治療を開始し徐々に投与量を減らしていきます。多くの例でステロイド治療が奏効し寛解します。再燃を抑制するために3年間程度、比較的低用量で治療を継続します(維持療法)。その後の治療継続の是非については、患者さんの疾患活動性により決めていきます。保険適応はありませんが、ステロイド依存性、ステロイド抵抗性の患者さんに対する免疫抑制薬の有用性も報告されています。
 症状がない場合や、自然に改善するような場合には治療を行わずに経過観察する場合もあります。黄疸がある場合には、内視鏡を用いて胆管にステントに留置する胆汁ドレナージ治療を行うことがあります。

消化器疾患分科会 正宗 淳(分科会長)

IgG4関連疾患とは

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