腎臓病

1.どのような病気ですか?

 IgG4関連疾患は全身のさまざまな臓器に病変を形成しますが、腎臓にもよく病変を認めます。免疫グロブリン(IgG)という病原体などから身体を守るタンパクの中でも、特にIgG4というタンパクを産生する細胞を多く含んだ多様な免疫細胞が、腎臓のさまざまな場所に塊を作ります。塊は腎臓全体にできることもあり、この場合腎臓自体が腫れます。腎臓の中や、腎盂という腎臓で作られた尿を貯める袋に塊ができることもあり、この場合腫瘍との鑑別が重要になります。腎臓にみられる様々なIgG4関連疾患の病変をまとめて「IgG4関連腎臓病」という名前がつけられています。
 IgG4関連腎臓病は、他のIgG4関連疾患の病変を持つ患者さんと同様に、高齢の男性に多くみられます。腎病変に痛みなどの特徴的な症状はなく、無症状のことがほとんどです。多くの場合、やや急速に進行する腎機能障害で発見されますが、涙腺・唾液腺などの腎臓以外の臓器病変を持つ患者さんをCTなどの画像検査で精査中に、偶然見つかることもあります。

 血液検査では、血液中の免疫グロブリン(IgG)、特にIgG4濃度の上昇がほぼ全ての患者さんに認められ、また補体というタンパク質の血中濃度低下は腎病変に特徴的で、比較的高頻度にみられます。腎病変が再発する際には、補体が再び低下してきて再燃を疑う指標になると言われています。
 前述したように、ほかの臓器の病変と同様、腎臓の病変にもIgG4を産生する免疫細胞が多く浸潤しています。病気の進行により線維化が進んでしまうと、治療によっても腎機能障害が遺ってしまうため、早期の治療が望ましいとされています。

IgG4関連腎臓病の特徴的画像所見。
①腎実質の多発性造影不良域、②腎盂の病変

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

 IgG4関連疾患自体は、日本全体でおよそ数万人おられると推定されています。IgG4関連腎臓病はIgG4関連疾患全体のおよそ10~25%にみられるとされていますが、直接IgG4関連腎臓病の一般人口における頻度を調査した報告はこれまでありません。

3.診断・治療法にはどのようなものがあるのですか?

 我が国では、日本腎臓学会のワーキンググループより提唱・改訂されたIgG4関連腎臓病診断基準をもとに診断することが多いです。この診断基準は2011年に作成され、2020年に改訂されました。この診断基準では、なんらかの腎障害を示す血液・尿検査異常や、血液中の免疫グロブリン上昇、また偶然指摘された画像所見などを契機に、血液中IgG4濃度の測定や腎組織所見の評価、また他臓器のIgG4関連疾患病変の評価を行い、診断確定に向かいます。
 治療は、ステロイド治療が有効です。ごく稀に病変が自然に改善することもありますが、腎機能障害が明らかな場合には速やかに治療を開始することが必要です。腎病変におけるステロイド治療では大量投与を必要とすることは稀で、中等量以下でよいとされています。ステロイド治療においてはさまざまな副作用が起こることもあり得ますので、副作用によりステロイドを使用できない時や、ステロイド単独治療の効果が十分でない場合には免疫抑制薬を使用することがあります。
 腎臓にみられていた病変は、治療により後遺症を遺さずに回復する場合と硬い線維化により機能障害を遺す場合とがあります。同じ患者さんの腎病変の中でも、回復する病変と瘢痕化して障害を遺す病変が混在するのが特徴です。早期に治療することで、より多くの病変を回復の方向へと向かわせることができると考えられています。一方で、薬を減らすと再燃しやすいという特徴もあり、減量中の再燃に注意が必要です。

腎臓病分科会 川野 充弘(分科会長)

IgG4関連疾患とは

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