1.どのような病気ですか?
IgG4関連疾患は、涙腺・唾液腺や膵臓といった臓器がよく知られていますが、しばしばリンパ節も腫れてきます。しかしリンパ節単独のIgG4関連疾患は珍しく、涙腺・唾液腺や膵臓などのIgG4関連疾患に併発していることが多いです。
IgG4関連疾患では、病変部を顕微鏡で観察すると、リンパ球や形質細胞が増加するとともに線維化(よく花筵状などと表現されます)や閉塞性静脈炎といった像が見られます。しかし、リンパ節病変は線維化や閉塞性静脈炎といった像が認められることが少なく、しばしば診断が難しい臓器の一つとなっています。また、キャッスルマン病やリウマチ膠原病関連疾患においても、顕微鏡で観察すると同じような像を示し、さらにはIgG4関連疾患の診断基準を満たしてしまうこともあります。そのため、リンパ節はIgG4関連疾患の診断が最も難しい臓器と言っても過言ではありません。そのため、リンパ節のみでは確定診断とせず、涙腺・唾液腺や膵臓などの代表的な臓器とあわせて診断することが重要です。
2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?
IgG4関連疾患の患者さんではリンパ節病変は高頻度に認められます。正確な患者数は不明ですが、涙腺・唾液腺領域のIgG4関連疾患と同程度の発生数はあると推測されます。
3.診断・治療法にはどのようなものがあるのですか?
顕微鏡で病変部を観察し、診断することを「病理診断」といいます。我々は、この「病理診断」を専門としています。病理診断では、病変部を顕微鏡で観察した所見だけでなく、血液検査やCT検査の結果などの臨床所見を総合して診断しています。とくに、キャッスルマン病やリウマチ膠原病関連疾患との鑑別は、顕微鏡で観察するだけでは見分けることが難しいため、臨床検査データが重要になります。
①顎下腺IgG4関連疾患(HE染色):線維化とともに多数のリンパ球や形質細胞の浸潤を認める。
②顎下腺IgG4関連疾患(IgG4免疫染色):浸潤している形質細胞の多くがIgG4に陽性を示す。
(茶色く染まっている細胞がIgG4陽性細胞です)
リンパ節・病理分科会 佐藤 康晴(分科会長)