呼吸器疾患

1.どのような病気ですか?

 全身に腫瘤や隆起性病変が生じて、その部位にIgG4陽性の形質細胞が浸潤し、血液中のIgG4も高値を示す病気をIgG4関連疾患と言いますが、この病変が呼吸器にも生じた場合、IgG4関連呼吸器疾患と言います。
 IgG4関連呼吸器疾患は、他の臓器の病変(対称性の涙腺・顎下腺病変や膵臓の病変など)を伴う事が多いため、それらの精密検査の最中に、胸部X線やCT検査にて、気管支の肥厚、浸潤影、腫瘤影などを指摘されて呼吸器科を受診する場合が多いです。またIgG4関連疾患は、アレルギー性鼻炎や気管支喘息などのアレルギー罹患歴が多いことも知られており、長引く咳や鼻汁などの症状で呼吸器科を受診することもあります。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

 呼吸器病変はIgG4関連疾患の20~30%にあると言われています。しかし咳や痰などの呼吸器症状が無ければ、精密検査をしないこともあるため、実際にはもう少し多いかもしれません。

3.診断・治療法にはどのようなものがあるのですか?

 IgG4関連呼吸器疾患は、基本的に他の臓器病変を伴う事が多いので、検査をしやすい部位の組織を採取し、IgG4関連疾患の診断基準を用いて診断します。その際に、呼吸器における病変が、IgG4関連呼吸器疾患診断基準の項目を満たせば、IgG4関連疾患の呼吸器病変と診断できます。しかし主な病変が呼吸器の場合は、肺癌やリンパ腫などの悪性疾患との鑑別が重要なため、気管支鏡や胸腔鏡による検査で病変部位の組織を充分に採取した上で、臨床所見・CTなどの画像所見・採取した肺組織の病理所見を、IgG4関連呼吸器疾患診断基準に照合して、IgG4関連呼吸器疾患と診断します。
 治療方法は、他の臓器と同様に経口の副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)を使用し、治療の反応性は良好です。もし治療の反応性が思わしくなければ、本当にIgG4関連疾患に関連する呼吸器病変なのかを検討し直す必要があります。また呼吸器やその他の臓器症状が無く、画像などの所見も軽微な場合は、診断後すぐに治療を行わず、しばらく経過を見てから治療方針を再検討することもあります。

呼吸器疾患分科会 松井 祥子(分科会長)

IgG4関連疾患とは

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